歯並びを整える鍵は「筋トレ」？お口の筋肉を鍛える重要性と習慣の改善

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀

お口の筋肉を鍛えていますか？

皆さんは、普段体を鍛える筋トレをしていますか？ジムに通ったり、自宅で筋トレをすることはよくありますが、お口の中の筋肉を鍛えることは、あまり意識されていないのではないでしょうか。実は、矯正治療をしている方にとって、お口の筋肉を整えることが非常に大切なのです。

お口の筋肉とは、唇や頬、そして舌です。これらの筋肉は常に歯に力を与えています。この力のバランスが崩れてしまうと、たとえ矯正治療を行っていても、歯は正しい位置を保てなくなり、治療の効果が出にくくなる可能性があります。そこで、当院では「MFT（口腔筋機能療法）」という、お口の周りの筋肉の機能を改善するトレーニングを提供しています。

MFT（口腔筋機能療法）とは？

MFTは、単なる筋トレではなく、筋肉の機能を整える治療です。強すぎる筋肉はリラックスさせ、逆に弱すぎる筋肉は正しく働くように訓練します。これにより、歯列が正しい位置に保たれ、矯正治療がスムーズに進み、治療後の後戻りを防ぐことができます。

具体的には、MFTを通じて以下のような効果が期待できます。

矯正治療の進行がスムーズになる
矯正後の歯の後戻りを防ぐ
口呼吸や発音の問題を改善する

では、歯並びが乱れる癖や習慣にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、日常生活で無意識にしてしまう癖が、歯並びにどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

姿勢が歯並びに与える影響

日常的な姿勢は、歯並びに大きな影響を与えます。特に「うつぶせ寝」「横向き寝」、そして「頬杖」といった癖があると、次のような問題が発生しやすくなります。

歯並びが悪くなる
歯がまっすぐ立たない
顔のバランスが崩れる
全身がねじれてくる

お口の筋肉は全身の筋肉と連動しています。そのため、これらの癖が全身に影響を及ぼし、姿勢の悪化を引き起こすこともあります。特に、頬杖は無意識のうちにしてしまうことが多いため、まずは自分の姿勢を見直し、癖を改善することが重要です。

舌の癖（舌突出癖）

舌の位置は、歯並びに大きな影響を与えることをご存じでしょうか？例えば、舌で前歯を押したり、舌が常に上下の歯の間にある場合、それは「舌突出癖（ぜつとっしゅつへき）」という癖です。舌の癖は、歯並びを乱す大きな要因の一つであり、適切な位置に舌を置くことが非常に重要です。

正しい舌の位置は、上顎に舌をつけ、舌先が前歯にぎりぎり当たらない位置にあることです。この正しい位置を保つことで、歯並びが乱れるのを防ぎます。

舌突出癖の影響としては、以下のようなものが挙げられます。

出っ歯になりやすい
受け口になりやすい
歯並びがガタガタになる

さらに、舌の位置が正しくないと、口呼吸や発音の問題、さらには顔のたるみなど、美容面でも影響が出てくることがあります。

舌癖がある有名人

舌癖は、一般の人だけでなく、芸能人の中にも見られます。例えば、東大の林修先生や俳優の桐谷健太さんなどは、舌癖があるとされています。彼らはテレビに出演する機会が多いにも関わらず、舌癖を治すことが難しいとされています。癖は大人になってから改善するのが難しいため、子供の頃から正しい習慣を身につけることが重要です。