こんにちは。今回は、医療費控除についてご説明いたします。
□医療費控除とは
一年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が10万円(年間所得金額が200万円未満の場合は所得金額×5%)を超えた場合、確定申告をすることにより所得税・住民税が還付または軽減される制度です。
大人の矯正の場合、美容目的とみなされて医療費控除の適用外ではないかと思われる方もいる様ですが、実際には専門医(日本矯正歯科学会の認定医など)の診断書があれば認められます。もちろん子どもの矯正でも同じです。当院ではご希望の方に医療控除申請用の診断書を発行しております。
□医療費控除の対象となるもの
自分自身または自分と生計を一にする配偶者やその他の親族のために、納税者が支払った医療費が対象となります。具体的には、本人・配偶者・子供・兄弟姉妹・両親・祖父母等、親族で生計を一緒にしている人全てが対象と考えて下さい。親や祖父母・子供などが離れた所で生活し、自分と一緒に生活していなくても、生活費の大部分を仕送りしている場合は生計を一にしている人とみなされます。
□当院で医療費控除の対象となる医療費
• 矯正料金(矯正相談料・精密検査料も含む)
※実際に治療を開始しなかった方については矯正相談料金は対象医療費にはなりません。
• 治療の為の医薬品購入費
• 通院費(電車・バスの利用)
※通院費は領収書がないので、ノート等にまとめたものを申告書に添付します。お子さんが小さいため保護者の方が付き添わなければならないような時は、保護者の方の交通費も通院費に含まれます。通院費として認められるものは、公共交通機関等を利用した場合ですので、例えば自家用車で通院した時のガソリン代といったものは対象となりません。当院ではご希望の方に通院回数証明書を発行しております。
□医療控除の対象となる金額
『その年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費の合計額』-『保険金などで補填される金額』- 10万円
• 医療費控除の対象となる金額は最高で200万円です。
• その年の総所得金額等の合計額が200万円未満の人はその金額×5%の金額が医療控除対象額となります。
• 治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となります。
□手続きを行うために必要な書類等
• 給与所得者の場合 : 給与所得者用の還付申告書・源泉徴収票・医療費等の領収書(コピーは認められません)。
• 給与所得者以外の場合 : 所得税の確定申告書の医療費控除欄に記入して申告。
• 印鑑、銀行等の通帳 ※確定(還付)申告書は地元の税務署においてあります。
□手続き方法
• 医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に対して提出してください。その際、対象となる医療費の領収証をまとめ、確定申告時にその他必要書類と一緒に提出します。もちろん河底歯科・矯正歯科以外での医療費もまとめて提出して下さい。(健康保険組合等から交付された『医療費のお知らせ』は領収証としては取扱われませんのでご注意下さい)
また、給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)も付けてください。
• 所得税の還付金は、銀行口座に振り込まれます。また、郵便局で受け取ることもできます。
• 申告期間は翌年の2月16日から3月15日の間です。ただしサラリーマンの方の還付は1月以降受理されます。
• 確定申告書を提出し忘れていても5年前までさかのぼって期限後の確定申告をすることにより医療費控除を受けることができます。
□医療費控除は誰が申告すればお得?
家族で年間の医療費をまとめるならば、一番所得の多い方が医療費控除を受けるのが最も節税効果が高くなります。
*所得税からの還付率
*住民税からの減税率・・・所得に関係なく一律 10%
住民税は還付金ではなく、その年の6月からの住民税の金額で調整されます。
例:矯正治療費120万円の場合の総所得金額に応じた合計還付金額
例えば給与年間700万円の方が60万円の矯正治療代金を支払った場合は、
→ 所得税から102,100円還付されます
→ 住民税から50,000円が減税されます
つまり、60万円の矯正治療が実質447,900円で受けられます。税率が高い方ほど節税効果は高くなります。(ただし、ご家庭の扶養人数、入っている保険の種類、住宅ローン控除の適用の有無などで必ずしも、上記の金額の還付があると保証するものではありません。)
□還付金の受け取り方
1. 預貯金口座への振込による方法
2. 最寄りのゆうちょ銀行各店舗または郵便局に出向いて受け取る方法
の二種類があります。詳しい手続き方法に関しては国税庁のホームページをご覧ください。
時期によっても前後しますが、還付金は確定申告から1ヶ月程度で還付されます。
□高額医療費との違い
保険診療において、重い病気やけがのため長期間の入院が必要になったり、治療が長引くような場合には、一部負担金自体が高額となってきます。そのためその負担を軽減できるように、一部負担金が一定の金額を超えたときに、その超えた部分の金額が払い戻される制度が高額医療費です。高額医療費は保険診療の適用範囲が対象となるため、当院での矯正治療費は基本的に適用外となります。(よくお問い合わせがある部分です。)
□確実に医療費控除を受けられるために
ご希望の方には医療費控除申告用の診断書および、交通費申告用の通院回数証明書を発行しております。当院で作成する診断書には、医療控除対象であると認められるように、所得税基本通達における容貌の美化を目的とするものではないということを記載しています。
なお、実際の細かいところはここに記載したことと異なることがあるかもしれません。ご不明な点やご質問等は税理士や税務署の方にご確認下さいね。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師