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【日本矯正歯科学会認定医が徹底解説】矯正治療における開窓術とは?埋伏歯の牽引について詳しくご紹介!

 日本矯正歯科学会認定医  河底晴紀

「子どもの歯がなかなか生えてこない」

「レントゲンで永久歯が埋まっていると言われた」

このようなお悩みで、矯正相談に来られる方は少なくありません。気づいてあげられる親御さんは優秀ですよ。

その際に提案されることのある治療が「開窓術(かいそうじゅつ)」です。

この記事では、開窓術とは何か、なぜ埋伏歯(まいふくし)が起こるのか、どうやって牽引するのかを、日本矯正歯科学会認定医である私が詳しく解説します。

当院には、日本矯正歯科学会認定医に加え、日本口腔外科学会専門医が2名在籍しており、難しい埋伏歯の症例にもチームで対応しています。

ぜひ最後までお読みください!


◆ 開窓術とは?

開窓術とは、歯ぐきや骨に埋まっている歯(埋伏歯)を引き出すために、歯肉を切開して歯の頭を露出させる手術のことをいいます。

**目的は「埋伏歯を矯正装置で引っ張り、正しい位置まで導くこと」**です。

自然に生えてこない場合、放置していると周囲の歯並びに悪影響を及ぼすことがあるため、

適切なタイミングで開窓術を行い、矯正治療と併用して歯を引き出す必要があります。


◆ なぜ歯が埋伏したままなのか?その原因とは

本来、永久歯は乳歯が抜けた後、適切な位置に生えてくるものですが、

何らかの理由で歯ぐきや骨の中に埋まったままになってしまうことがあります。

主な原因は以下の通りです。

① 歯の生えるスペース不足

  • あごが小さい

  • 歯が大きい

  • 乳歯の早期喪失や虫歯によるスペース不足

② 歯の向きや位置の異常

  • 本来の方向と異なる向きに歯胚が形成されている

  • 斜めや横向きになっていることも

③ 過剰歯(余分な歯)がある

  • 正しい位置に生えようとする歯の邪魔をする

④ 歯根の未完成や発育異常

  • 歯の根っこの発育が遅れると、萌出(生えてくること)が遅れることがある

⑤ 歯肉や骨の異常

  • 過剰な歯肉の厚みや骨が歯の萌出を妨げる

埋伏歯の中でも特に多いのが「上顎犬歯(上の糸切り歯)」の埋伏です。

犬歯は歯列の中でも重要な役割を持つため、しっかり正しい位置に導くことが非常に大切です。


◆ 開窓術と埋伏歯牽引の流れ

ここでは、開窓術から埋伏歯を引き出すまでの流れをわかりやすくご説明します。

【ステップ1】診査・診断

まず、レントゲンやCT撮影を行い、歯の位置・向き・深さを正確に把握します。

骨に深く埋まっている場合や、周囲の歯との距離が近い場合は、より慎重な判断が求められます。

【ステップ2】開窓手術

日本口腔外科学会専門医が担当する場合が多く、局所麻酔下で、歯ぐきを切開し、埋まっている歯の頭(歯冠)を露出させます。

必要に応じて、邪魔な骨を少し削ることもあります。

露出した歯の表面に小さな金属製のボタン(矯正用アタッチメント)を接着します。

【ステップ3】矯正装置による牽引

開窓術でボタンをつけた歯に、矯正用ワイヤーやゴムを使って少しずつ力をかけながら引き出していきます。

無理に強い力をかけると歯の根が吸収されたり、歯ぐきに悪影響が出たりするため、

弱い力をかけ続けることが成功のカギです。

【ステップ4】歯列への整列

無事に口腔内へ萌出してきたら、通常の矯正治療に移行して、他の歯ときれいに並ぶよう仕上げていきます。


◆ 開窓術・埋伏歯牽引の期間はどれくらい?

症例によって異なりますが、目安として

  • 開窓手術自体は1日

  • 牽引にかかる期間は6ヶ月~1年程度

となることが多いです。

歯の埋まり具合や生えたい方向によって、期間は長くなることもあります。

矯正治療全体の期間に加算される形になるため、初回のカウンセリング時にしっかりスケジュール説明を受けることが重要です。


◆ 開窓術後の注意点(抜歯後の注意事項と同じです)

  • 手術当日は刺激物・アルコール・激しい運動を控える

  • 処方された抗生剤や痛み止めはきちんと服用する

  • 術後の腫れや違和感は数日でおさまることが多い

  • 歯みがきは指導に従ってやさしく行う

また、牽引中はボタンやワイヤーが外れないよう注意しましょう。

外れてしまった場合は、速やかにクリニックに連絡を!


◆ なぜ開窓術・牽引が必要なのか?

「待っていれば自然に出てくるのでは?」と思うかもしれませんが、

埋伏歯を放置すると大きな問題につながることがあります。

  • 歯並びが大きく乱れる

  • 正常な歯を押してしまい、前歯がずれる

  • 隣の歯の根を溶かしてしまう

  • 嚢胞(膿の袋)ができることも

こうしたリスクを避けるためにも、適切なタイミングで介入することが非常に重要なのです。


◆ 当院の強み:矯正と口腔外科の連携治療

当院では、

日本矯正歯科学会認定医による専門的な矯正診断(矯正ドクターは3名おります)

日本口腔外科学会専門医が2名在籍し、安全な開窓術を提供

このように、矯正医と口腔外科医が連携して治療を進める体制を整えています。

開窓術が必要な場合でも、一つのクリニック内でスムーズに完結できるため、

患者様にとって安心・安全な環境を提供しています。


◆ まとめ:開窓術で未来のきれいな歯並びを守ろう!

 

項目 内容
開窓術とは 歯ぐきを開いて埋伏歯を露出し、矯正で引き出す手術
なぜ必要か 歯並びの悪化や隣の歯への悪影響を防ぐため
期間 牽引に6ヶ月~1年ほどかかる
注意点 術後ケアと定期通院が重要

お子さまの歯並びを守るためにも、早期発見・早期治療がカギです。

「もしかして埋伏歯かも?」と感じたら、ぜひ当院にご相談ください。

経験豊富な矯正医と口腔外科医が、チームであなたのお口の健康をサポートします!

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

・日本臨床歯科学会

K-Project

・FCDC

MID-G 

広島県歯科医師会

・福山市歯科医師会 理事

#開窓術

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