日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
抜歯後は、「食事に気をつけるように」と言われることが多いですが、実際に何に注意すればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。抜歯後の口の中はとてもデリケートで、適切な食事を選ばないと、傷口の治癒が遅れたり、痛みが増したりすることがあります。
本記事では、抜歯後の食事で気をつけるべき3つのポイントについて詳しく解説します。痛みを最小限に抑え、早く回復するための正しい食事の選び方を知り、抜歯後のケアに役立ててください。
1. 刺激物・熱いものに注意!傷口の回復を妨げる食べ物とは?
抜歯後の傷口はとても敏感な状態になっており、適切なケアをしないと痛みが強くなったり、治癒が遅れたりすることがあります。特に、刺激の強い食べ物や熱い食事は避けるべきです。
刺激物がNGな理由
抜歯直後の傷口は炎症を起こしやすく、刺激物によってさらにダメージを受ける可能性があります。以下の食べ物は特に注意が必要です。
✅ 辛いもの(唐辛子・わさび・カレー)
➡ 刺激が強く、傷口にしみることで痛みが増す可能性がある。
✅ 酸っぱいもの(酢・柑橘類・梅干し)
➡ 酸が傷口を刺激し、炎症を引き起こすことがある。
✅ アルコール類(ビール・ワイン・日本酒など)
➡ 血行を促進し、出血を長引かせる可能性がある。
✅ 炭酸飲料(コーラ・ソーダ・ビール)
➡ シュワシュワとした刺激が傷口を刺激し、違和感や痛みを引き起こす。
熱いものがNGな理由
抜歯後の傷口は、熱に敏感になっており、熱い食べ物を摂取すると血流が増加し、再出血を引き起こすことがあります。
また、口の中が火傷しやすい状態になっているため、治癒が遅れる原因にもなります。
✅ 熱々のスープ・味噌汁
✅ 熱いお茶・コーヒー
✅ 鍋料理やラーメン
抜歯後2〜3日は、ぬるめの飲み物や冷ました食事を選ぶことをおすすめします!
2. 食べかすが抜歯の穴に入らないようにすることが大切!
抜歯後の傷口には、血の塊(血餅)ができることで、自然に治癒が進みます。しかし、食べかすが傷口に入ると、炎症を起こし、痛みが強くなる原因になります。特に、抜歯後に**ドライソケット(傷口の治癒が遅れる状態)**になると、激しい痛みが長引くことがあるので注意が必要です。
食べかすが傷口に入りやすい食べ物
以下の食品は、抜歯後はできるだけ避けるか、食べる際に注意が必要です。
✅ 粒状のもの(ごま・ナッツ・ふりかけ・米粒)
✅ 繊維質の多いもの(肉・葉物野菜・海苔)
✅ パン・クッキー・クラッカー(口の中でボロボロ崩れるもの)
特にご飯の粒やパンくずは、傷口に入り込みやすく、取れにくいので注意が必要です!
食べかすを防ぐ方法
① スプーンやフォークを使い、傷口側では噛まない
② 飲み込むだけで食べられるものを選ぶ(スープ・おかゆ・ヨーグルトなど)
③ 食後は優しくうがいをする(強いうがいはNG!)
強くうがいをすると、傷口の血餅が取れてしまい、治癒が遅れることがあります。ぬるま湯や歯科医院で指示されたうがい薬で、優しくすすぐようにしましょう。
3. 抜歯後におすすめの食事とは?
抜歯後は、傷口に負担をかけず、栄養をしっかり補給できる食事を選ぶことが大切です。
おすすめの食事
✅ おかゆ・雑炊・リゾット
➡ 柔らかくて食べやすく、栄養も摂れる!
✅ スープ・味噌汁(冷ましたもの)
➡ 水分補給にもなり、体に優しい。
✅ ヨーグルト・プリン・ゼリー
➡ 甘さもあり、食べやすい。ビタミンB群を含むヨーグルトは特におすすめ!
✅ 豆腐・スクランブルエッグ
➡ タンパク質を補給し、傷の治癒を助ける。
✅ バナナ・りんご(すりおろし)
➡ 消化が良く、ビタミン補給にも最適。
ポイント:できるだけ柔らかく、噛まずに食べられるものを選ぶ!
まとめ:抜歯後の食事で気をつける3つのこと
✅ 1. 刺激物・熱いものを避ける!
➡ 辛いもの、酸っぱいもの、アルコール、炭酸飲料、熱い飲み物はNG。
✅ 2. 食べかすが抜歯の穴に入らないようにする!
➡ 粒状のもの、繊維質の多い食べ物、パンやクッキーは避ける。
✅ 3. 柔らかくて栄養のある食事を選ぶ!
➡ おかゆ、スープ、ヨーグルト、豆腐、すりおろしフルーツがおすすめ。
抜歯後は、適切な食事を心がけることで、痛みを抑え、スムーズに回復することができます。もし、抜歯後の痛みが長引いたり、傷口の腫れがひどい場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう!
無理せず、しっかりとケアをして健康な口内環境を取り戻してくださいね!
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事

#抜歯後の食事について