日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
舌の裏にできる口内炎は、食事や会話に支障をきたすことがあり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。この記事では、舌の裏の口内炎の症状、原因、治療法について詳しく解説し、早期の改善につなげるための情報をお届けします。
舌の裏の口内炎の主な症状
舌の裏にできる口内炎には、以下のような症状が見られます。
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痛みや違和感:食事や会話の際に、舌の裏にズキズキした痛みを感じる。
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赤みや腫れ:炎症が起こり、舌の裏が赤く腫れていることが多い。
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白っぽい斑点や潰瘍:傷のような小さな潰瘍ができ、中心が白く、周囲が赤くなっている。
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刺激に対する過敏反応:熱い食べ物や酸味の強い食べ物に対して特に痛みを感じる。
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口臭:炎症により、口の中の細菌が増殖し、口臭の原因になることも。
舌の裏に口内炎ができる主な原因
口内炎が発生する原因は多岐にわたります。以下のような要因が考えられます。
1. 物理的な刺激
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食事中の誤咬や、歯ブラシの強い摩擦。
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入れ歯や矯正装置による擦れ。
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固い食べ物やスパイシーな食べ物による刺激。
2. 栄養不足
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ビタミンB群(B2、B6、B12)や鉄分、亜鉛の不足が原因となることがあります。
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偏った食事やダイエットによる栄養の偏り。
3. ストレスと免疫低下
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睡眠不足や過度なストレスにより、免疫力が低下し、口内炎ができやすくなる。
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疲労の蓄積による体調不良。
4. 口腔内の衛生状態の悪化
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歯磨きを怠ったり、不適切な口腔ケアによる細菌の繁殖。
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口腔乾燥症などによる唾液の減少。
5. ウイルスや細菌感染
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ヘルペスウイルスやカンジダ菌などの感染が原因で発生することも。
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風邪やインフルエンザの罹患後に現れることもあります。
舌の裏の口内炎の治療法
口内炎は通常1〜2週間で自然治癒しますが、痛みを軽減し、早期回復を促すための対策を取ることが重要です。
1. 市販薬の使用
・抗炎症成分が含まれたうがい薬(ベンザルコニウム、アズノールなど)を活用。
2. 当院での薬の処方
・当院では、炎症を抑えるための「デキサメタゾン」を処方しています。
・ステロイド系の薬で、炎症の緩和と痛みの軽減に効果があります。
3. 食生活の改善
・ビタミンB群、鉄分、亜鉛を意識したバランスの良い食事を摂る。
・刺激の強い食品(辛い物、熱い飲み物、柑橘類)を避ける。
4. 口腔ケアの徹底
・歯磨きを丁寧に行い、口腔内を清潔に保つ。
・口腔内の乾燥を防ぐため、水分をこまめに摂取。
5. 生活習慣の改善
・睡眠をしっかりとることで、体の免疫力を高める。
・ストレス管理を意識し、リラックスできる時間を作る。
6. 専門医の診察
・痛みがひどい場合や、2週間以上治らない場合は歯科や口腔外科を受診。
・口腔がんなどのリスクが疑われる場合は、早期診断が重要です。
舌の裏の口内炎を予防するためのポイント
口内炎の予防には、日常生活の見直しが欠かせません。
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規則正しい生活習慣を心がける
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睡眠時間を確保し、免疫力を維持する。
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バランスの良い食事を摂る
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ビタミンB群や鉄分を多く含む食材(レバー、卵、納豆など)を積極的に摂取。
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適切な口腔ケアを行う
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歯磨きの際は優しくブラッシングし、口腔内を傷つけないように注意。
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水分補給をこまめにする
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唾液の分泌を促進し、口腔内の乾燥を防ぐ。
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まとめ
舌の裏の口内炎は、誰にでも起こりうるものですが、適切なケアと生活習慣の改善によって予防・早期改善が可能です。もし痛みが強く長引く場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。日頃から口腔内のケアを怠らず、健康な口腔環境を維持していきましょう。