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糖尿病と歯周病がどう関係しているのか?医科歯科連携をすすめる河底歯科・矯正歯科

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀

 

糖尿病と歯周病の関係性を理解するためには、以下の2つの側面を考える必要があります。それぞれが互いに影響を及ぼし合う「負のスパイラル」を形成しており、放置することで健康全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

#歯周病は全身疾患と大いに関係している!

 

 

 

 

 

 

 

 

1. 糖尿病が歯周病を悪化させる理由
糖尿病患者は、血糖値が慢性的に高い状態が続くため、全身の免疫機能が低下しています。この免疫機能の低下は、口腔内にも影響を及ぼし、細菌に対する抵抗力が弱くなります。その結果、糖尿病患者は以下の理由から歯周病にかかりやすく、進行しやすくなります。

免疫機能の低下
糖尿病の高血糖状態では、白血球の働きが弱くなり、感染への防御力が低下します。歯周病は歯周ポケットにたまったプラーク(歯垢)に存在する細菌が原因で起こる病気です。この細菌に対して身体が十分な防御反応を示せないため、炎症が長引きやすくなります。

血流の悪化
糖尿病では血管が硬化し、血流が悪化します。血液は組織に酸素や栄養を届ける重要な役割を担っていますが、血流が滞ることで、歯ぐきや歯を支える骨に必要な栄養が行き届かなくなります。そのため、歯周病によって損傷を受けた組織の再生能力が低下し、歯周病が治りにくくなるのです。

口腔内環境の悪化
高血糖状態では唾液にも糖分が多く含まれるようになり、口腔内環境が細菌にとって繁殖しやすい環境になります。また、糖尿病患者は唾液の分泌量が低下することが多く、これにより口腔内が乾燥しやすくなります。口腔内が乾燥すると、自浄作用が弱まり、細菌が増殖しやすくなります。

炎症の広がり
糖尿病患者の炎症は、歯ぐきに限らず、顎の骨など広範囲に及ぶことが多いです。歯周病の炎症が慢性化し、進行すると、歯を支える骨が溶け、歯がぐらついて最終的には抜け落ちてしまいます。このように、糖尿病は歯周病の進行を加速させ、歯を失うリスクを高めます。

2. 歯周病が糖尿病を悪化させる理由
一方で、歯周病が糖尿病を悪化させることも分かっています。歯周病は細菌感染が原因で発生する病気であり、その細菌や炎症性物質が全身に悪影響を及ぼします。

慢性炎症が全身に及ぼす影響
歯周病が進行すると、歯周ポケット内で細菌が増殖し、炎症が持続します。この炎症は、サイトカインと呼ばれる炎症性物質を大量に発生させます。これらのサイトカインが血流に乗って全身を巡ると、インスリンの働きを阻害し、糖尿病の血糖コントロールを困難にします。

インスリン抵抗性の増加
歯周病による慢性的な炎症は、インスリン抵抗性を引き起こします。これは、インスリンが体内で効果的に働かなくなる状態を指します。インスリンが効かなくなると、血糖値を正常に保つことが難しくなり、糖尿病がさらに悪化します。

細菌の全身拡散
歯周病菌が血流に入り込むこともあります。この状態を菌血症と呼びますが、全身の臓器に感染を広げ、心臓病や腎臓病など他の疾患のリスクを高めることがあります。糖尿病患者の場合、もともと免疫力が低下しているため、歯周病菌の影響がさらに深刻化します。

糖尿病と歯周病の「負のスパイラル」
糖尿病と歯周病は、互いに悪影響を及ぼし合う「負のスパイラル」を形成します。

糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなる
高血糖状態による免疫力の低下、血流の悪化、口腔内環境の変化が歯周病を進行させます。

歯周病があると糖尿病が悪化する
歯周病による炎症性物質が全身に広がり、インスリンの働きを阻害します。

この悪循環が続くと、糖尿病の症状が進行し、生命を脅かす合併症のリスクも高まります。さらに、歯周病による歯の喪失が進行すれば、食生活にも影響が出るため、全身の健康がますます損なわれてしまいます。

糖尿病と歯周病を防ぐために
1. 血糖値をコントロールする
糖尿病を管理することは、歯周病予防の第一歩です。血糖値が安定することで、免疫力や炎症の抑制効果が期待できます。

2. 定期的な歯科検診を受ける
歯周病は早期発見・早期治療が重要です。定期的な歯科検診を受けることで、歯周病が軽いうちに治療を開始できます。

3. 適切な口腔ケアを心がける
歯周病予防には、正しい歯磨き習慣が欠かせません。歯と歯ぐきの間を意識して磨き、歯垢を取り除きましょう。

4. 歯科医と内科医の連携
糖尿病と歯周病を同時に管理するためには、歯科医と内科医の連携が不可欠です。河底歯科・矯正歯科では、医科歯科連携を強化し、糖尿病患者の治療において内科医と密接に協力しています。たとえば、患者さんの血糖値管理を内科医と共有し、歯周病治療の計画に反映させることで、より効果的な治療が可能になります。また、内科医からの紹介患者を受け入れ、歯周病の予防や治療をスムーズに進める体制を整えています。

糖尿病と歯周病の関係性を理解し、早めの対策を取ることが健康を守る鍵です。全身の健康と長寿を支えるためにも、口腔内のケアを怠らないようにしましょう。

#糖尿病と歯周病の関係性

 

 

 

 

 

 

 

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

日本臨床歯科学会(SJCD)

K-Project

・FCDC

MID-G 

広島県歯科医師会

福山市歯科医師会 理事

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