日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀
矯正治療を行う際に使用される「アンカースクリュー」。矯正治療の中で非常に重要な役割を果たすこの装置ですが、正しいケアを怠ると、トラブルの原因になることがあります。今回は、アンカースクリュー(矯正用インプラントとも言います)について、基本的な情報や周りの清掃方法について詳しく解説します。
アンカースクリューのケアが重要な理由
アンカースクリューは、矯正治療中に歯を正しい位置に動かすための固定源として使用されます。主に奥歯や顎の骨に埋入され、装置として機能します。しかし、その構造上、スクリュー周りは汚れがたまりやすい部分でもあります。
スクリュー周りが不衛生な状態になると、次のような問題が発生することがあります:
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感染リスク
汚れがたまると細菌が増殖し、スクリュー周囲の組織に炎症を引き起こします。これが進行すると、スクリューが安定しなくなり、最悪の場合、自然に脱離してしまうことも。 -
治療期間の延長
スクリューが脱離すると再装着が必要になり、治療計画に遅れが生じることがあります。 -
口腔内の不快感
汚れが原因で口臭や不快感が生じる場合もあります。
こうしたリスクを防ぐためにも、毎日のケアが欠かせません。
スクリューを磨くためのおすすめ道具
スクリュー周りの清掃には、以下の道具を使用するのがおすすめです:
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コンパクトタフトブラシ
中でも「テペ コンパクトタフト」は、スクリュー周りを磨くのに最適です。先が細く丸い形状なので、粘膜に触れても痛みを感じにくく、細かい部分までしっかり磨けます。 -
タフトブラシ(尖ったタイプ)
通常のタフトブラシも使用できますが、先端が尖っているため粘膜に触れると痛みを感じる場合があります。 -
矯正用歯ブラシ
通常の歯ブラシよりも細かい部分まで届く設計がされています。スクリュー周りを清掃する際の補助として使用すると効果的です。 -
歯間ブラシ
スクリュー周りの隙間に入り込んだ汚れを取り除くのに便利です。 -
洗口液(ハビットプロ)
最後の仕上げとして使用すると、口腔内全体がすっきりし、細菌の繁殖を抑えることができます。
スクリュー周りの正しい磨き方
スクリュー周りを清潔に保つための基本的な磨き方をご紹介します。
1. コンパクトタフトブラシでくるくる磨く
- コンパクトタフトブラシを使用し、スクリューの周りを円を描くように磨きます。
- 優しくブラシを当て、歯茎や粘膜を傷つけないよう注意しましょう。
2. タフトブラシや矯正用歯ブラシで細部を清掃
- タフトブラシでスクリュー周りの細かい部分に残った汚れを取り除きます。矯正用歯ブラシを使って、歯全体も磨きましょう。
3. 歯間ブラシで隙間を清掃
- スクリュー周りの隙間や、矯正装置と歯の間に入り込んだ汚れを歯間ブラシで除去します。歯間ブラシのサイズは、隙間の広さに応じて選びましょう。
4. 洗口液で仕上げ
- 「ハビットプロ」などの洗口液を使用して、口腔内全体をリフレッシュします。ミントの香りが広がり、清潔感が持続します。
スクリューケアを続ける重要性
スクリュー周りをきちんと磨くことは、矯正治療をスムーズに進めるための基本です。特に、感染症や炎症を防ぐためには、日々のケアが欠かせません。以下のポイントを押さえてケアを続けてください:
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毎日丁寧に清掃する
食後や就寝前のブラッシングを習慣化しましょう。 -
定期的に歯科医院でチェックを受ける
定期的に歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受け、スクリューや歯全体の状態を確認してもらいましょう。 -
正しい道具を選ぶ
適切なブラシや洗口液を使用することで、清掃効果を最大限に引き出せます。