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矯正治療中の親知らずの抜歯〜使う道具まで徹底解説

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀

矯正治療を受けている方にとって、親知らずの抜歯は大きなイベントの一つです。「そもそも、なぜ抜く必要があるの?」「どのように抜くの?」といった疑問や不安を抱える方も多いでしょう。この記事では、矯正治療中の親知らずの抜歯について、その目的、使用する器具、そして抜歯後の変化について詳しく解説します。


親知らずを抜く目的

親知らずを抜歯する主な目的は、矯正治療の成功を妨げないようにすることです。特に以下のような理由が挙げられます:

  1. 矯正治療の妨げになるため
    親知らずが歯列の中でスペースを圧迫している場合、矯正装置を用いて歯を理想的な位置に移動させることが困難になります。また、親知らずの位置が悪いと、歯並びを後戻りさせる原因にもなりかねません。

  2. 清掃が困難なため
    奥に生えている親知らずは、歯ブラシが届きにくく、清掃が不十分になりがちです。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。矯正治療中は装置によってさらに清掃が難しくなるため、親知らずを抜くことでお口の健康を守ることができます。

  3. 噛み合わせへの影響を防ぐため
    正常な咬合を得るために、親知らずが邪魔をしているケースもあります。こうした場合も、抜歯が必要となります。


使用する器具

親知らずの抜歯には、専門の器具が使用されます。以下では、実際に用いられる代表的な器具とその役割を説明します。

上顎用旧使用抜歯鉗子

この鉗子は、親知らずをしっかり掴み、歯を口腔内から取り出すための器具です。抜歯の際、歯を確実に捉えて動かしやすくする設計になっています。鉗子を適切に使用することで、短時間で効率的に抜歯が可能です。

ヘーベル

ヘーベルは、親知らずを歯槽骨(歯を支える骨)から脱臼させるための器具です。歯を少しずつ動かし、歯槽骨との結合を緩めていくことで、抜歯をスムーズに行えるようサポートします。この工程は患者様への負担を軽減するためにも重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


親知らずの状態による抜歯の違い

親知らずがどのように生えているかによって、抜歯の難易度は異なります。

  • まっすぐ生えている場合
     まっすぐ生えている親知らずは、比較的簡単に抜歯が可能です。鉗子とヘーベルを使って数秒で処置が完了することもあります。

  • 横向きや斜めに埋まっている場合
     この場合、歯茎を切開し、親知らずを分割して取り出すなどの工程が必要になります。処置に時間がかかることもありますが、しっかりと計画を立てて行えば問題ありません。


抜去歯牙を見ての気づき

親知らずを抜いた後、取り出した歯を見て気づくことがあります。特に以下の点は印象に残ることが多いです。

  • 根が短い
     矯正治療中の患者様の場合、親知らずの根が完成しておらず短いことがあります。根が短いと、抜歯が比較的スムーズに進む場合が多いです。

  • 歯根がぷにぷにと柔らかい
     成長途中の歯は歯根が完全に硬化しておらず、触ると肉球のようにぷにぷにしていることがあります。これも、早期に抜歯するメリットの一つです。


抜歯後の変化

親知らずを抜いた後、患者様が感じる変化には以下のようなものがあります。

  1. 歯磨きが楽になる
     親知らずがあると奥の歯までブラシが届きにくかったり、周囲に汚れが溜まりやすくなったりします。抜歯後はその心配が減り、歯磨きがずっと楽になると感じる方が多いです。

  2. 噛み合わせの改善
     親知らずが他の歯を押していたり、噛み合わせを邪魔していた場合、抜歯後に噛み合わせが改善されることがあります。

  3. 矯正治療がスムーズに進む
     スペースが確保されることで、矯正装置による歯の移動が効率的に進みます。


まとめ

矯正治療中の親知らずの抜歯は、矯正治療を成功に導くための大切なステップです。適切な器具を用い、親知らずの状態に応じて適切な処置を行うことで、患者様の負担を最小限に抑えつつ、安全に抜歯を行えます。抜歯後は歯磨きがしやすくなり、矯正治療もスムーズに進むため、多くの患者様にとってプラスの変化を実感できるでしょう。

もし親知らずの抜歯について不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富な専門医が、丁寧にサポートさせていただきます。

 

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

日本臨床歯科学会(SJCD)

K-Project

・FCDC

MID-G 

広島県歯科医師会

福山市歯科医師会 理事

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