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口腔筋機能療法(MFT)の期間について〜一般的にはどれくらいするの?

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士  河底晴紀

歯並びの矯正と並行して、舌や口周りの筋肉を鍛える「筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)」が注目されています。MFTは、歯並びの乱れの根本原因となる舌や口周りの筋肉の癖を改善し、正しい機能を習得することで、矯正治療の効果を持続させるために欠かせない治療です。

では、MFTはどのくらいの期間行うのが一般的なのでしょうか?また、出っ歯や受け口など、症状別にどのようなトレーニングが行われるのでしょうか。今回は、福山市で人気の河底歯科・矯正歯科が提供するMFTの特徴と、その期間や内容について詳しく解説します。

MFTの一般的な治療期間 〜 どのくらい続けるべき?

筋機能療法(MFT)は、基本的には矯正治療と並行して行い、舌や口の筋肉のトレーニングを2年程度続けることが目安とされています。個々の患者様の状態や治療目標により異なりますが、MFTは一時的なトレーニングでなく、持続的な癖づけを目的とするため、一定期間の継続が重要です。

MFTに2年が必要な理由

MFTは、日常的な筋肉の使い方や癖を根本的に改善するため、短期間では十分な成果が得られにくいことがあります。舌や口周りの筋肉は、長年にわたり一定のパターンで使われているため、その癖を修正し、正しい動きを習慣化するには時間がかかります。筋肉の記憶をリセットし、新しい使い方を自然に身につけるまでには、どうしても1〜2年程度の期間が必要です。

筋機能療法(MFT)の具体的なトレーニング内容

MFTには、舌の位置を正しい位置に収める訓練や、口周りの筋肉を鍛えるエクササイズが含まれます。これにより、舌が前歯を押す癖を改善したり、口が自然に閉じられるように訓練したりします。トレーニングは、毎日数分程度の簡単なエクササイズが中心です。

以下は、一般的なMFTトレーニングの内容です:

  1. 舌の正しい位置を覚えるトレーニング
     舌の先端が上顎の前歯の根元あたりに軽く触れる位置が正しい舌の位置です。ここに舌を置くことで、口の中の筋肉がバランスよく使われ、歯並びへの悪影響を防ぐことができます。

  2. 唇を閉じる筋肉を鍛えるエクササイズ
     唇を閉じたまま、口の中で空気を左右に動かすエクササイズや、風船を膨らませるトレーニングも行います。これにより、口周りの筋肉が鍛えられ、自然と口を閉じる癖がつきます。

  3. 舌の筋力を強化するトレーニング
     舌を上顎に強く押しつけたり、口の中で舌を左右に動かしたりすることで、舌の筋肉を鍛えます。これにより、舌が正しい位置に留まりやすくなり、前歯に不要な圧力がかかることを防ぎます。

出っ歯の場合に行うMFTの内容

出っ歯(上顎前突)とは、上の前歯が前に突出している状態を指します。この場合、舌が前歯を押す癖があることが多く、それが出っ歯の原因となっていることが少なくありません。出っ歯に対するMFTは、舌の正しい位置を学ぶことが重要です。

出っ歯の場合のMFTトレーニング

  1. 舌を前歯から遠ざけるトレーニング
     舌が前歯を押す癖を改善するため、舌を上顎の正しい位置に置く訓練を行います。具体的には、舌の先を上顎に軽く触れさせ、自然な位置に固定するよう意識します。これにより、前歯にかかる圧力が減り、出っ歯の改善が期待されます。

  2. 舌の押し付けエクササイズ
     上顎の歯茎に向けて舌を強く押し付けるトレーニングです。このエクササイズにより、舌の筋力が強化され、舌の正しい位置が安定しやすくなります。前歯を押す癖が軽減し、歯並びにも良い影響を与えます。

  3. 唇を閉じる筋力強化エクササイズ
     唇が自然に閉じられないと、上唇が前歯の上に乗り、出っ歯がさらに強調されることがあります。唇を閉じたまま頬を膨らませたり、空気を移動させるトレーニングを行うことで、唇や口周りの筋力が向上し、出っ歯を目立たなくする効果が期待できます。

受け口の場合に行うMFTの内容

受け口(下顎前突)とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を指します。この状態では、舌が下顎に下がりやすく、噛み合わせのバランスが崩れる原因となります。受け口の場合、舌を上顎に持ち上げることが重要です。

受け口の場合のMFTトレーニング

  1. 舌を上顎に持ち上げるトレーニング
     受け口の場合、舌が下顎の方に下がりがちになるため、舌を意識して上顎に持ち上げる練習を行います。舌の先を上顎に触れさせ、舌が自然に持ち上がるように意識します。これにより、噛み合わせのバランスが整いやすくなります。

  2. 口の中の筋肉を均等に使うエクササイズ
     唇を閉じた状態で空気を移動させるエクササイズや、風船を膨らませるトレーニングを行います。これにより、上下の顎がバランスよく使えるようになり、受け口の改善が期待できます。

  3. 顎を正しい位置に保つエクササイズ
     受け口の方は、顎が前に出やすいため、顎を自然な位置に保つトレーニングも行います。口を閉じてリラックスした状態で、顎を少し引くようにすることで、顎の筋肉が安定しやすくなります。

MFTの効果を最大化するためのポイント

MFTは、毎日の習慣化が重要です。以下のポイントを意識し、日常的にトレーニングを続けることで、筋機能療法の効果を最大化できます。

  1. 毎日続けること
     MFTは、一度のトレーニングで効果が出るものではなく、継続することで筋肉が新しい癖を覚えます。日々数分でも継続して行うことが効果を高める秘訣です。

  2. 家族のサポート
     特に小さなお子様の場合、家族のサポートが必要です。お子様と一緒にトレーニングを行い、楽しみながら続けられる工夫をすることで、スムーズに習慣化できます。

  3. 歯科医師の指導を受ける
     MFTは、専門の歯科医師や矯正歯科医の指導のもとで行うことで、より効果が得られます。河底歯科・矯正歯科では、患者様一人ひとりに合わせたトレーニングメニューを提供しています。

まとめ:MFTは矯正治療を支える大切なトレーニング

筋機能療法(MFT)は、舌や口周りの筋肉を鍛えることで、歯並びに影響を与える癖を改善し、矯正治療の効果を長持ちさせるためのトレーニングです。出っ歯や受け口など、症状に合わせたエクササイズを継続することで、自然な歯並びが維持されやすくなります。MFTの期間は一般的に2年ほどが目安とされ、毎日の継続が重要です。

福山市の河底歯科・矯正歯科では、矯正治療と併せてMFTのサポートを行い、患者様が長期的に健康で美しい歯並びを維持できるようサポートしています。MFTについて詳しく知りたい方や、ご自身の歯並びについてご相談がある方は、ぜひ一度当院にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

日本臨床歯科学会(SJCD)

K-Project

・FCDC

MID-G 

広島県歯科医師会

福山市歯科医師会 理事

一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師

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