日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀
仕上げ磨きは、子どもの歯を健康に保つために重要な習慣ですが、「何歳まで続けるべきか?」という質問は多くの親御さんが抱えている疑問です。しかし、年齢だけで判断するのは正しい答えとは言えません。子ども一人ひとりの成長や能力には個人差があり、歯磨きの習熟度や歯の健康状態に合わせて対応することが大切です。
子どもには個人差がある
子どもは成長とともに自分で歯磨きをできるようになりますが、その時期には個人差があります。早くから自分で磨けるようになる子もいれば、少し時間がかかる子もいます。特に磨き残しがある場合や、奥歯のケアが難しいと感じる子どもには、親が仕上げ磨きをしてサポートしてあげることが大切です。
また、仕上げ磨きをいつまで続けるかは、子どもの歯磨きの技術や習慣にも影響されます。例えば、前歯はきれいに磨けるけれど、奥歯や歯と歯の間は磨き残しが多いという場合には、もう少し親の手助けが必要です。
「10歳まで」という固定観念に縛られない
一般的には「仕上げ磨きは10歳まで」と言われることが多いですが、これはあくまで目安です。大切なのは、年齢にこだわるのではなく、子どもの歯磨きスキルや成長に合わせて仕上げ磨きを続けることです。
例えば、10歳を過ぎても歯磨きが十分でない子どもや、矯正治療中の子どもには、親が仕上げ磨きを続ける必要があります。仕上げ磨きをやめるタイミングは、歯科医や歯科衛生士と相談しながら決めることが最も安全です。
必要な子供には仕上げ磨きを続ける
歯科専門家が勧めるように、仕上げ磨きは年齢で区切るべきではありません。子どもの歯磨きスキルが未熟な場合や、磨き残しが目立つ場合には、必要な期間は仕上げ磨きを続けてあげましょう。
特に、以下のような子どもには、親の仕上げ磨きが必要です。
- 歯並びが悪い、または矯正治療を受けている
- 奥歯や歯の裏側など磨きにくい場所が多い
- 自分で歯磨きをしっかりできない、注意が散りやすい
- 虫歯ができやすい傾向がある
仕上げ磨きの際は、ただ磨くだけでなく、子どもに磨き方を教えることも大切です。そうすることで、将来的に自分で正しく磨けるようになる土台を作ります。
歯科で染め出しを活用する
歯科医院で定期的に行う「染め出し」は、子どもの磨き残しを確認するのに非常に効果的な方法です。染め出しとは、専用の染め出し液や錠剤を使って、歯に残っているプラーク(歯垢)を色で可視化する方法です。
この方法を使うことで、子どもが自分で磨けていない部分を明確に理解することができます。歯科で染め出しをしてもらい、その結果を子どもに直接伝えることで、磨き残しを減らす意識が高まります。
また、染め出しの結果は親にとっても有益です。どの部分が磨けていないかを確認し、それに基づいて仕上げ磨きや指導を行うことで、より効果的な歯磨き指導が可能になります。
大人でも歯磨きは難しい
意外と知られていない事実ですが、大人でも歯磨きは難しいものです。正しい歯磨き方法を実践していないと、磨き残しが発生しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。これを考えると、まだ歯磨き経験の浅い子どもが完全に磨ききることは非常に難しいことです。
- 歯と歯の間や奥歯の溝に汚れがたまりやすい
- 歯磨きの際に力を入れすぎてしまう
- 歯茎を傷つけることを恐れて、十分に磨けない
これらの問題は、大人でも発生しやすいため、子どもには一層のケアが必要です。大人がしっかりサポートすることで、子どもは正しい歯磨き習慣を身につけ、将来的に健康な歯を維持できるようになります。
仕上げ磨きのポイント
仕上げ磨きを効果的に行うためのポイントをいくつかご紹介します。これらを実践することで、子どもの歯を守りながら、将来の虫歯リスクを減らすことができます。
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優しく磨く
力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、優しく丁寧に磨くことが大切です。特に奥歯や歯と歯の間は、磨き残しが発生しやすいので、慎重に行いましょう。 -
正しいブラシを選ぶ
子どもの口に合った歯ブラシを使うことも重要です。小さなヘッドで毛が柔らかいものが適しています。 -
歯磨き粉を使う
フッ素入りの歯磨き粉を使うことで、虫歯予防効果が期待できます。適量を守り、歯磨き後はしっかりと口をゆすぎましょう。 -
定期的に歯科医院でチェックする
定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、適切なケアを受けることができます。また、プロフェッショナルクリーニングで歯の表面をきれいに保つことも大切です。
まとめ:仕上げ磨きは長期間サポートすることが重要
仕上げ磨きは、子どもの成長とともに終わるものではなく、個々の子どもの状況に合わせて続けることが求められます。磨き残しが多い場合や、歯並びが悪く磨きにくい場合は、仕上げ磨きを続けることで、将来的な歯の健康を守ることができます。
福山市で子どもの歯のケアについてお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師