日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀
最近また寒くなってきましたね。下向いていると鼻水が垂れてきたり、鼻が詰まって苦しくなったりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
インフルエンザや、新型コロナウイルスなどの感染症も流行ってきているのでただの風邪と思わず不調がある際は病院を受診してくださいね。
今回は鼻づまり繋がりで歯科と関係のある鼻の病気についてお話したいと思います。
歯科と関係のある鼻の病気、それは“蓄膿症”です。
蓄膿症とは正式名称を慢性副鼻腔炎といい、副鼻腔(前頭洞・篩骨洞・上顎洞)に膿が溜まったり、ポリープが出来てしまったりし
た状態のことを言います。
その症状のうちでも、細菌の感染などにより膿が溜まっている状態を特に蓄膿症と呼びます。
蓄膿症に関係が強いのは、上の奥歯と上顎洞です。
上顎洞も体の成長とともに大きくなっていきます。上顎洞が大きくなっている間に上顎の永久歯が生えていきます。この二つの成長が重なって歯根と上顎洞の間の距離が短いことや、写真のように歯根が上顎洞に入り込んでいる事もあります。
このように歯と上顎洞の距離が近いとむし歯が進行して根の先に膿の袋ができた時や歯周病が進行して細菌が蔓延している状態だと骨を簡単に壊してしまいます。
そうすると根の先の膿や周りの細菌が上顎洞にまで広がっていき蓄膿症の症状を引き起こしていきます。
症状は原因歯のある方に現れます。
上顎洞のドクドクするような脈動性の痛みと原因歯とその周辺の歯の痛み、頭重感、鼻閉感、全身的にも発熱や倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。
治療法はまず、抗菌剤や抗炎症剤などを投与して、炎症を抑えていきます。
その後、原因歯の治療に移ります。原因に応じた治療(歯周病治療や根っこの治療など)を行っていきますが、それで改善しない場合は抜歯をすることもあります。
また、歯と上顎洞が近接、突き抜けている場合は抜歯することで口腔内と上顎洞が繋がってしまうこともありますがそういった場合は抜いた後の穴が治っていくごとに塞がっていきます。
穴が大きくて塞がらない場合は塞ぐ手術が必要になることもあります。
蓄膿症は歯が原因のものが全部ではなく、鼻が原因でなるものもあるので歯が原因で蓄膿症になるリスクを少しでも減らすために歯科を定期的に受診してむし歯や歯周病になっていないかなどチェックしていきましょう。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師