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医療費控除について

日本矯正歯科学会認定医:河底晴紀

年が明けて2月から確定申告が始まりますので今回は治療費に医療費控除が適用できる話をしたいと思います。

あなたは「医療費控除」という制度をご存じでしょうか?

聞いたことがある方は多いと思います。

ざっくり言うと1年間に支払った医療費を申告することによって税金が還付される」制度です。

今回はこの「医療費控除」について詳しく説明したいと思います。

歯科での医療費控除の対象となる治療とは・・・

あなたやあなたと生計を一緒にする配偶者、その他の親族の為に1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額が一定額以上ある場合に「医療費控除」が受けられます。

ただし、医療費控除の対象となるものとならないものがありますので、まずはそれを見ていきましょう。

【対象となるもの】

・インプラント治療費 

・自由診療によるかぶせ等の治療費(オールセラミックの詰め物やかぶせ)

・矯正治療費 

・むし歯の治療費 

・通院のための電車、バス代(交通費は領収書がなくても日にちと金額のメモでOK

・薬局で購入した風邪薬(病気にかかる費用はOK

申告には領収書が必要となります。領収書の再発行はできませんので大切に保管してください。

【対象とならないもの】

・フッ素治療費(予防目的なので不可) 

・ホワイトニングの費用(審美目的なので不可)

・歯ブラシなどの口腔衛生用品代(日常生活で使用するものは不可) 

・インフルエンザ予防接種(予防目的なので不可) 

・通院のためのガソリン代

医療費控除の計算方法・・・

医療費控除の対象となるものが分かったら、次は計算方法について説明します。

計算は以下のようになります。 

 

 

 

   

1 保険金等で補填させる金額・・・

・健康保険組合等からの給付金や、高額療養費、出産一時手当金、生命保険契約等に基づ

き支払いを受ける医療保険金、入院給付金は差し引きます。

2 足切り額・・・

・所得が200万円以上の人は、10万円

・所得が200万円未満の人は、所得合計額の5%

ここでいう所得とは、年収や手取り額ではありません。

年収から必要経費(給与所得控除額)を引いた金額です。

所得は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄をご確認ください。

実際に計算してみましょう!

計算方法が分かったところで、実際に計算してみましょう!

例)夫、妻、子ども1人。夫婦共働き、子どもは中学生

夫の年収500万円、妻の年収250万円

  今年から子どもの矯正治療を開始

  妻がセラミックのかぶせ(10万円)を入れた

1年間でかかった医療費は家族3人分合計で85万円

夫が生命保険会社から医療保険金5万円を受け取っていた

夫の年収は500万円なので所得は346万円となり、所得が200万円以上なので足切り額は10万円です。

85万円-5万円-10万円(足切り額)=70万円

70万円が医療費控除額となります。

夫の税率が10%とすると、

医療費控除額70万円 × 税率10% = 7万円

したがって、医療費控除の申告により、所得税は7万円還付されます。

さらに住民税も一律10%安くなるので、この場合7万円の計算になり、

所得税と住民税を合わせると14万円も税金を減らすことができます。

課税所得は、源泉徴収票で計算できます。

 「給与所得控除後の金額」-「所得控除の額の合計金額」=「課税所得」

税率については国税庁のHPでご確認ください↓

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

所得税の場合は医療費控除で安くなった分だけ還付されますが、住民税は翌年6月以降

に納めるため、所得税のように還付されることはありません。医療費控除で安くなった

後の税額を6月以降に納めることになります。

夫婦共働きで、妻が夫の扶養に入っていなくても、医療費は家族分を合計して計算することができます。

また、税率が高いほうが還付額が多くなる為、夫と妻とで税率が高い方で申告をしたほうがお得です。

歯科治療についていうと、矯正費用を分割にすると足切りされる年が増える事になるので還付額を大きくしたい場合は一括払いのほうがお得です。

申告の手続き・・・

さて、還付金の計算ができたら実際に申告をしてみましょう。

①必要な書類を準備する

 ・確定申告書 

・医療費控除の明細書

どちらとも税務署の窓口、もしくは国税庁のHPからダウンロードできます。

 書類を入手して必要事項を記入します。

 ・源泉徴収票(会社員の場合)

 ・医療費通知

   →ご自分の加入している健康保険組合等から送られてくる書類です。

②必要な書類を税務署に提出する

 通常の確定申告では、支払いがあった年の翌年2月上旬~3月15日のあいだに書類を提出します。

③還付金を確認する

 還付金は1ヶ月~1ヶ月半程度後に指定した振込口座に振り込まれるか、最寄のゆうちょ銀行または郵便局に出向いて受け取ることができます。

1年の締めくくりとして・・・

ちょっとややこしいかもしれませんが、余裕をもって申告するためにも早めに書類を記入されるといいですね。

2019年は元号が変わるなど、大きく時代が変わったなぁ・・・と思う年でした。

2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます!

夏季オリンピックとしては56年ぶりの日本での開催。

今から待ち遠しいですね!

来年も元気に過ごせるよう、ぜひともお口から健康を考えてみてください!

 参照:国税庁サイト

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