日本矯正歯科学会認定医河底晴紀
本日は「歯磨き後のうがい回数」についてお話ししたいと思います。突然ですが、みなさんは歯磨きをした後に何回うがいをしていますか?普段何気なく行っていることなので、改めて回数を考えると迷ってしまうかもしれませんね。
実は、歯磨き後のうがいは「1回」がベストなのです。この情報を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜ1回が良いのか、その理由を詳しく説明します。
フッ素の効果を最大限に引き出すために
歯磨き粉の成分には、さまざまなものが含まれていますが、一番目につくのが「フッ素」ではないでしょうか?歯科でも「フッ素入りの歯磨き粉を使いましょう」とよく勧められることがあります。フッ素には、むし歯予防の効果や歯を強くする作用があり、その効果を最大限に引き出すためには、歯磨き後のフッ素をできるだけお口に残すことが重要です。
フッ素の働きは、「酸産生抑制機能」と「再石灰化促進機能」です。むし歯の原因菌が食べ物に含まれる糖分を取り込み、酸を作り出すことで歯が溶けますが、フッ素はこの酸の生成を抑え、歯の再石灰化を助けます。つまり、フッ素をお口の中に残しておくことで、歯がむし歯に強くなり、回復力が高まるのです。
うがい回数が多いとフッ素の効果が薄れる
歯磨き後に何度もうがいをすると、せっかくのフッ素が流れてしまい、十分にその効果を発揮する前にお口から排出されてしまいます。フッ素は歯にコーティングされてから徐々に歯に浸透していくため、できるだけ長くお口に留まる必要があります。うがいを1回にすることで、フッ素がしっかりと歯に定着し、むし歯予防効果を高めることができるのです。
もちろん、うがいを全くしないという選択肢もありますが、歯磨き粉や食べかすが残ったままでは不快ですし、フッ素も少量であれば人体に害はありませんが、大量に飲み込むのは好ましくありません。そのため、うがいは「1回」にとどめるのがベストな方法なのです。
正しい歯磨きの手順
ここで、正しい歯磨きの手順についても確認しておきましょう。普段の歯磨きを見直すことで、フッ素の効果を最大限に引き出し、歯の健康を守ることができます。
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年齢に応じた量の歯磨き粉を使用する
- 生後6か月〜2歳:切った爪程度の量
- 3〜5歳:5mm以下
- 6〜14歳:1cm程度
- 15歳以上:2cm程度
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歯磨き粉を歯全体に広げる 歯磨き粉を歯ブラシにのせたら、まずは歯の表面全体に均等に行き渡るように広げましょう。
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2〜3分かけて歯を磨く 歯磨き粉が泡立ちすぎないように、優しく丁寧に磨きます。あまり強くゴシゴシ磨かないようにしましょう。
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余分な歯磨き粉を吐き出す 歯磨き粉の泡を吐き出して、次のうがいに備えます。
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10〜15mlの水で5秒間ぶくぶくうがいを1回する 小さじ2杯分くらいの水を口に含み、5秒ほどぶくぶくとすすぎます。このとき、フッ素を残すために少量の水を使うのがポイントです。
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歯磨き後1〜2時間は飲食を控える 歯磨き後すぐに飲食をすると、フッ素が流れてしまい、むし歯予防効果が減少してしまいます。できるだけ1〜2時間は何も食べたり飲んだりしないようにしましょう。
歯磨き後のうがい回数を減らすメリット
これまで何度もうがいをしていた方は、フッ素を流しすぎていたかもしれません。歯磨き後のうがいを「1回」にとどめることで、以下のようなメリットが得られます。
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フッ素の効果を最大限に引き出す
フッ素が歯にしっかりと浸透し、むし歯予防効果を高めます。 -
むし歯のリスクを軽減
フッ素による酸産生抑制と再石灰化の働きにより、むし歯になりにくくなります。 -
歯の健康を長く維持できる
正しい歯磨き習慣を身につけることで、歯の健康を長く保つことができます。
歯磨き習慣を見直してみましょう
歯磨き後のうがい回数を減らすことは、歯の健康を守るためにとても効果的です。特にフッ素入りの歯磨き粉を使っている方は、この小さな習慣の変化で大きな効果を得ることができるでしょう。
今回のブログをきっかけに、ぜひ日々の歯磨き習慣を見直してみてください。そして、歯科検診やプロによる定期的なケアも忘れずに行い、歯の健康をしっかりと守っていきましょう。
もし歯磨き方法やむし歯予防について不安や疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。歯の健康は一生ものです。正しい知識を持って、毎日のケアに取り組んでいきましょう!
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師