日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀
虫歯予防と聞いて、まず思い浮かべるのは何ですか?やっぱり「歯磨き」でしょうか。もちろん、歯磨きは虫歯予防に欠かせない習慣ですが、実はもっと簡単で楽しくできる方法があるんです。それは「フッ化物入りのデンタルガム」を食後に噛むことです。
ガムを噛んで虫歯予防?意外な発見
ガムを噛んで虫歯予防?そんな風に思う方もいらっしゃるかもしれません。私自身も「甘いものは控えましょう」と言われるのが虫歯予防の定番だと思っていました。でも、食後にガムを噛むだけで虫歯予防ができると聞いて、ちょっと驚きましたし、正直得した気分になりました。
ガムが虫歯予防に効く仕組み
食後、お口の中は酸性に傾き、歯が少しずつ溶け出していく「脱灰」が始まります。これが続くと歯が弱くなり、虫歯のリスクが高まります。ここで活躍するのが「唾液」です。唾液はお口の中を中和し、歯の再石灰化を促進する大事な役割を果たしています。
ガムを噛むと唾液の分泌が増えるため、口内環境が酸性から中性に戻りやすくなります。さらに、フッ化物入りのデンタルガムなら、唾液に含まれるフッ素が歯を強化し、虫歯予防効果を高めてくれます。ガムを噛んでいる間、唾液中のフッ素濃度は1ppm程度に保たれ、これはフッ素入り歯磨き粉でうがいをした時と同じ効果が得られます。この状態が持続することで、歯の再石灰化が進み、歯が強くなっていくのです。
デンタルガムの進化
デンタルガムは、今やただの「シュガーレスガム」ではありません。技術が進化し、虫歯予防効果がどんどん高まっています。以下はその進化の歴史です:
- 第1世代:シュガーレスガム
- 第2世代:シュガーレス+カルシウムイオン
- 第3世代:シュガーレス+カルシウムイオン+フッ化物イオン
今のデンタルガムは、フッ素やカルシウムを含み、20分間しっかりとした味が持続するので、無理なく噛み続けられます。甘いガムを噛むだけで虫歯予防ができるなんて、ちょっとワクワクしますよね。
続けることが大切
この虫歯予防法のカギは「継続」です。食後にデンタルガムを2粒、10〜20分間噛む習慣を続けることで、2年後には歯垢中のミュータンス菌の数が半分以下になるというデータもあります。ミュータンス菌は虫歯の原因菌として知られており、これが減るだけでも虫歯のリスクは大幅に下がります。
唾液の大切な役割
唾液は単なる口の中の潤滑剤ではありません。虫歯予防にも大きく関わっています。唾液は食事を助け、口内を清潔に保つ働きを持っているだけでなく、口腔内の酸性度を中和して歯を守ってくれるのです。
ただ、唾液の分泌はストレスや薬の影響を受けやすく、また現代の食生活では柔らかい食べ物が多く、自然に唾液を分泌する機会が少なくなっているのが現状です。デンタルガムを噛むことで、この唾液の分泌を促進し、虫歯予防に役立てることができるのです。
日々の習慣にプラスして効果を高める方法
ガムを噛むことを習慣にするのも大切ですが、その他にも虫歯予防に効果的な日常の習慣を取り入れていきましょう。
- 自分の歯に合った歯ブラシを使う
- フッ化物入りの歯磨き粉を使用する
- 定期的な歯科医院でのチェックアップ
これらを併せて行うことで、虫歯予防の効果はさらに高まります。特に定期的な歯科でのチェックアップは、早期にトラブルを発見し、予防的なケアを行うためにも非常に重要です。
最後に
いかがでしたか?フッ化物入りのデンタルガムを噛むことで、簡単に虫歯予防ができるというお話でした。甘いものを我慢することなく、逆に楽しんで虫歯予防ができるなんて、一石二鳥ですよね。ガムを噛むことによって唾液の分泌が促され、口内環境を健康に保つことができるので、毎日の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?
私たち歯科医院でも、みなさんが楽しく予防に取り組めるよう、最新の情報やケア方法を提供しています。ぜひ定期的にお越しいただき、一緒に健康な歯を守っていきましょう。ご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師