点字ボランティア訪問

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 友人の奥さん(尾道市で活動)が点字ボランティアをやっているという話を聞き、興味をもち福山市のボランティアグループ「麦の会」を訪ねた。「麦の会」は、点訳グループで毎月第1・第3土曜日の13時30分〜16時、福山すこやかセンターで活動しており、「視覚障害者へ書籍・雑誌・資料などさまざまなものを点訳し、社会参加を支援するグループです」と紹介されている。

2004年3月5日中国新聞より転載

 あらかじめ「麦の会」のことをインターネットで調べて、福山すこやかセンターのボランティア担当の方に、「第1・第3土曜日にやっておられますので、どうぞ参加してください」という許可はいただいていた。グループの会長さんのお名前も伺っていたが、連絡がとれなかったので失礼かなとも思ったが、突然訪問することとし予定日を設定していた。

 ところがその前日、中国新聞に「23年コツコツ広辞苑点訳」という見出しの記事が掲載された。明日訪問する予定の「麦の会」のメンバーの方の偉業が報道されている。その奇遇と、とてつもない業績に感嘆しきりであった。広辞苑は、言葉は23万で、字数は1,400万に上るという。それを点訳すると、329巻、5万1,753頁にもなったとのこと。

 これを完成させた69歳の渡辺直子さんという方の根気と忍耐強さには感服するばかりである。グループの他の方の協力があったとはいえ、努力と実行力は並大抵ではない。23年間と聞いただけで気が遠くなりそうだ。その上、「間違いがないか、3回読み返した」とのこと。広辞苑を読み通した人は、何人もいるものではないであろう。まさに“生き字引”の域に達しているのではなかろうか。
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 その日、福山すこやかセンターに着き、建物まで30メートルほどの道を歩いていると、清楚な制服を着用した男性が、じっと私の方を見ている。前述の尾道市で活躍している奥さんのご主人である。「掃除に学ぶ会」のリーダーとしてボランティア活動をしている方で、仲間が集まるのを待っているとのこと。重ね重ねの奇遇にびっくりしながら、「麦の会」を訪問するため来館したことを告げると、「ああ、今日は小学生が体験学習に来ていますよ」と言う。この人は点字ボランティアグループの状況まで把握しているのかと、またまたびっくり。

 「二階ですよ」と教えられたことを頼りに、グループの活動部屋を探したが、土曜日ということで職員の方が不在なのか、案内を請う人も見当たらず迷ってしまった。お蔭で館内の規模や設備を知ることができた。

 会が始まる前に訪問し、会長さんにご挨拶をして許可をいただいてから ・ ・ ・ と考えていたが、駐車場が満杯で出直すこととなり遅刻してしまった。そっと部屋を覗いて会長さんを呼んでいただき、ご挨拶。見学参加のお許しをいただき、まずコンピュータ室へ。最近はコンピュータで点訳できると聞いていたので、関心をもっていた。パソコンサポート係りの方に説明を受けた。スキャナー、点訳ソフトを使用するコンピュータ、点字プリンターなどなど、想像していた通りの近代的な進歩した姿であった。「コンピュータ点訳は、100%完璧なものではなく、どうしても人によるチェック・変更が必要なのだ」ということをお聞きした。
 
 そして、30名ほどの皆さんが集う部屋へ。小学生が熱心にグループの方の指導を受けている。渡辺さんとお話したい旨を伝えると、新聞で拝見した丸いお顔の笑顔が近づいて来られた。娘さんが歯科医で東京で開業されているとかで、点字とは異なった話題で話が弾んだ。「渡辺さんは、コンピュータは使用しないのですか」とお尋ねすると、点字板での勉強・鍛錬の重要性を熱っぽく語られた。「あれは取材に来た記者が上手に書いたのよ」と謙遜しながら、新聞報道のことを話された。「実物がありますよ」と点訳した広辞苑を見せて下さった。持参したデジカメで、渡辺さんとのツーショットの写真を撮ってもらったが、オートフォーカスの悲しさ、二人の中央の遠方の壁に焦点が合い、ピンボケ。

 温かい心の訳者や協力者の笑顔と、点字全訳“広辞苑”の偉大な感触を握り締め、帰宅した。
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