Aさんの夏休みの宿題

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  私は30年以上矯正診療を続けていますが、夏休みなどに来院する子供たちに「夏休みを楽しく過ごしてるかい?」、「夏休みは楽しかったかい?」、「宿題は進んでいるかい?」などと話し掛けます。

  今年も成人の方を除くほとんどの来院者に、同様に声を掛けました。
 小学校低学年は、
   「楽しい!」、
   「ずいぶん肌の色が黒くなっているけど、海へ行ったの?」、
   「海はきらいだから、プール」
   などと、のびのび朗らかに答えてくれます。
 小学校高学年や中学生になると、
   「きびしい}、「きつい」などが半数、
   「楽しくやってるよ」が半数くらいです。
   受験勉強やクラブの合宿など、思い思いに頑張っているようです。
 高校生になると、
   「まあね!」と、意味ありげに“ニヤリ”と笑って、あまり多くを語ってくれません。
 大学生は、
   誇らしげに、自信満々といった感じで、私の問い掛けに応じてくれます。進学で福山を離れ夏休みにチェックに訪れる方が大部分なので、話もはずむのです。

  8月25日のこと、矯正治療にAさんが
 来院しました。4歳の頃からチェックを始め、
 7歳から反対咬合の治療をしている笑顔の
 かわいい女の子です。
  今年は11歳の夏休み。例によって、
   「夏休みは楽しかった?」
   「楽しかったよ!」
   「宿題終わった?」
 萌出し始めた左上顎犬歯
    「科学研究がまだ ・ ・ ・」
 そんな話をしながら口の中を見ていると、左の上顎の犬歯が萌出し始め、乳犬歯が動揺していました。 「Aちゃん、歯の抜け替わりを“科学研究”にしたら?」
    「ふーん??」、
 怪訝そうな顔で私の顔を見るAさん。

  待合室で待っていたお母さんと相談した結果、私の提案を受け入れることになったようです。「表面張力の研究をしようと思ったのですが、なかなかうまくいかなくって」とお母さん。

  早速、約束した
   “お口の写真(デジタルカメラで撮影し、プリントアウトしたもの)”、“歯列の発育表(胎生6ヵ月、出生時、・ ・ ・ 6歳時、12歳時、などの乳歯と永久歯の状況を図示したもののコピー)”、
   “乳歯と永久歯の関係が分かる模型2個”などを、差し上げたり貸してあげたりして、勉強していただくこととしました。「Aちゃん、自分で歯を抜いて、歯の形をスケッチするんだよ」とアドバイスして、その日の診療を終えました。

  私が小さい頃は、乳歯が自然脱落すると、
   上顎の歯は、縁の下に投げ入れ「ネズミの歯と、かえとくれー」と言い、下顎の歯は、屋根の上に投げ上げ「スズメの歯と、かえとくれー」と言ったような記憶があります。今想うと、“スズメには、歯はないのになー”と不思議な気がします。

  
Aさんの夏休みの宿題、科学研究は期限内に完成しただろうか?

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